FACT.ATTIC代表 辻井のブログ

2017.08.30

注文住宅で、間口の狭い敷地を有効に生かす方法(京都のウナギの寝床)

『タテオコシ』のお話です

外構工事中の物件が一件、大工造作中が一件、昨日建て方だった物件が一件と、

現場が沢山有るけれど、本当は図面を書いている方が好きな辻井です。




狭小間口の家




狭小な敷地における組み立てかた、『タテオコシ』
のお話です。

漢字で書くと『建て越し』だと思います。





京都
市内注文住宅用地場合は短冊型の「うなぎの寝床」と言われる土地が多く、


間口が狭く奥行きが長い事が一般的です。





細長い土地(狭小間口)の場合、敷地一杯に建物を建てたくなりますが、


そうすると敷地の境界の空き寸法は狭くなりますので、足場を建てる事が出来なくなります。


そうすると、躯体を組み立てた後で行うサッシ(窓)の取り付けはもちろん、


外壁の防水や、外壁の仕上げ工事も出来なくなりますので、困ります




そこで、幾つかの工法が編み出されたのですが、



「在来木造」と言われる木造軸組み工法では『建テオコシ』や『内張り』と言われる工法が、

「ツーバイフォー」では『タテオコシ』と言われる工法がそれぞれ編み出されました




まずは、木造軸組みの建テオコシです。


木造建て越し





基礎を作ったあと、本来壁の立つ位置よりも中に外壁を作ります


これは、作業スペースを確保しないとならないからです。




この工法だと外壁下地の合板や防水もきちんと仕上げられますので、安心なのですが、

最終的に外壁を所定の位置に移動する際の危険性からか、最近はとんと見かけなくなりました






次に、木造軸組み工法の内張り工法です。

内貼り工法



所定の位置に全ての柱や梁を設置した後に、



中からサイディングなどを落とし込んで(勘合させて)いく工法です。


外側に構造用合板を施工する事は不可能となりますので、


水平加重に耐する耐力は、筋交(スジカイ)というツッカエ棒の様な材に依存せざるを得ません



防水工事も外部から施工する事に比べると、施工性は悪くなりますので、不安が残ります。


(でも、10年くらいは大丈夫だと思います)


良いところは早く出来るところと、安価で比較的安全ところでしょうか。






さて、最後はツーバイフォーの『建テオコシ』です。



1階の床に合板を張り込んだところから開始です。






壁を床に寝かした状態で躯体(骨組み)を作ります。

壁の縦枠の組み立て

寝かした状態で外壁の下地の構造用合板全て貼ります。







防水
通気同縁を施工し、サッシ(窓)を取り付けます。




外壁 通気胴縁 建て起し





壁にジャッキを掛け・・・



建て起し ジャッキ







いよいよ緊張のジャッキアップです。





建て起し ジャッキアップ





ジャッキ
上下に動かすとグングン壁が90度になっていきます。






ツーバイフォー工法は、別名プラットフォーム工法と言います。




平たい床などの上で、各階の壁を仕上げて、少人数で壁を起こす事が出来ますので、安全に施工出来ます。






さらに、下地の合板などの構造防水タテオコシではない部分の壁と遜色なく施工する事が可能ですので、狭小な敷地に施工するには、最も適した工法だといえます。








なんと、敷地境界線までの最小距離は17cmまで施工可能です。



建て起し 敷地の隙間






あまり狭いと、施工がシビアになるので、職人さんには嫌がられますが、細長い敷地の場合、




建物の間口が少し増えるだけで、プランが激変する事が少なくありません。







例えば、ワンサイズ大きい容量の冷蔵庫が置けたり、ダイニングのテーブルを少し大きく出来たり、



が効率的に入れられたりします。





但し、建て越しに関しては費用対効果考慮して設計した方が良いでしょう。






良い設計者施工者は、家を作る時に最善の方法が見つかるまで




あきらめずに検討し、答えを探します。





安易に決定して、最も楽な方法で設計あるいは施工する事で回転率が上がるので、早く帰れるかもしれません。



人件費も節約できますので、企業的には正解なのかもしれませんが、





私はそんな社会の風潮には迎合しかねます。




(せやしいっつも遅いねん(by家内))





『商品やサービス』は、それを欲しい人の数に比例して価値価格)が

上がりますので、



それ自体のクォリティーよりも、宣伝広告が物を言う場合が多い事も
多々有ります。




私は 建築に関しては『それではあかん』と思います。

(へ~(by家内))







私は自らを『士業』だと考えています。




また、建築士法 第2条には「建築士は常に保持し・・・」ともあります。



(で?(by家内))









ですので、利害よりも条理に従うべきだと考えています。

(ようするに?(by家内))






え~っと、話や検討が長くなると言う事です(笑)

(タイヘンやね(笑)(by家内))








大変な設計者 辻井でした(笑)

注文住宅を建てるなら、タイヘンな設計事務所にご連絡してみてはいかがでしょうか。

(なんじゃそりゃ?)






他社に比べて、プランや図面に、少しお時間頂きますが・・・(笑)







関連のお話は下記からどうぞ。

最強の工法

コンパネ

通し柱



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