癒やしの壁Healing Wall.

設計データData

竣工 2013年 坪数 31.50坪
場所 京都市 工法 2×4工法
種別 新築 構造 二階建

エピソードEpisode

弊社の取引先のご担当者様が、弊社の仕事を気に入って頂きご依頼頂きました。

好条件の立地には建築条件(指定された会社によって建物を建てることを条件として売買される)が付いている事が多く、ご購入された土地には、建築条件が付いていました。

建築条件を外すには、少なくない費用がかかります。それでもと声をかけて頂いた事が嬉しかったので、弊社も精いっぱい努力させていただきました。

  • 複合的な要素を兼ね備えた大きな壁複合的な要素を兼ね備えた大きな壁

コンセプトConcept

和風建築にも関わらず大きな壁をデザインに取り入れた特徴的な外観は虚飾ではありません。

西側の道路は抜け道になっており、朝夕に多少の車通りが有るので、小さなお子様の飛び出しと、車などの音に対する配慮、風致地区に建つ外観への配慮など、複合的な用途を兼ね備えています。

敷地は北西の角地で、北・西共家は建っておらず、木々も多く、北側の遠方には山稜を望める静かな環境。南は一区画を挟んで線路が有りますが、駅が近い為、電車のスピードは出ません。つまり、振動は小さいと考察出来ます。

閑静な住宅街は、往々にして建蔽率が厳しく、風致地区の規制がさらに建て坪を10%圧迫します。
そこで、外部に建つ壁を利用して、外でも内でもない曖昧な内的外部空間を創り出し、LDKの空間に広がりを持たせました。

二階への階段を上がったホールを少し広く取り、読書などが出来るスペースを配置しました。
夏に下階から上がってくる熱が溜まる事への対策として、上部は吹き抜けとしています。
また、インナーバルコニーも隣接させることにより、平面の大きさ以上に抜けの有る空間とする事で、広がりを持たせ、プライバシーが確保された快適な空間を目指しました。

全体に無駄な動線そぎ落とす事で、厳しい面積条件をクリア―しつつ、広がりを持たせた空間を創れたのではないかと自負しています。

平面図を見ると各室が整然と配置されているので、一見容易にプランニングされた様に見えますが、実は風水で方位に関する制約が多く、部屋の上下関係を含む配置や外観をまとめる事に並大抵ではない苦慮をしています。
風水上理想的な間取りであるにも関わらず、これらを感じさせないプランニングにするには、お施主様と設計者双方の妥協しない姿勢が大切なのではないかと強く思いました。

  • 風水上理想的な間取りと、風水上理想的な間取りと、広々とした寛ぎの空間