計画地は道路を挟んで南西側に数mの段差が有る土地でしたので、これを生かさない手はありません。
敷地の向かいの間知石擁壁の段差。
2階のLDKを道路側に配置しても隣地から覗かれる心配がありませんし、バルコニーからは遥か遠くまで空間が広がります。
バルコニーからの風景。向うに見える山までが自分の空間になる贅沢。
風景を建物で切り取る事で、夕焼けや夜空も特別な自分だけのものに出来ます。
意図的に長くとったアプローチの奥にはオークの無垢材で特注した玄関ドアが。
ヒンジは見えない方がスッキリとする為、HESヒンジ(隠し丁番)で納める事も検討しましたが、使い勝手の事なども考えて、グラビティーヒンジを採用しました。丁番は目立ちますが、ドアチェックを無くしてスッキリとした佇まいに出来ます。
ドアの下部は特殊な可動式ドアボトムを埋め込んでありますので、沓摺さえも有りません。ATTICこだわりの特注玄関ドアです。
エントランスから階段へ。建具や収納扉は全て天井いっぱいの特殊な建具です。
階段を上がった2階ホールには、ちょっとした飾り棚を作りました。キッチンに立って見ると、ちょうど見える様に位置を決めました。
LDKに入るとコダワリのキッチンがお出迎えです。
美しい天板は、シーザーストーンです。クォーツストーンのシーザーストーンは傷や磨耗に強く、吸水率の極めて低い素材です。
辻井的には流行りのセラミックよりも、こちらの方が好みです。
扉は木製の無垢材に塗装を施し、取手には真鍮を採用。塩ビシート貼りの扉が主流の時代に逆行する本物の素材で構成されたキッチンは実際に見ると迫力が違います。
とはいえ、色がやさしいのでイカツイ訳ではありません。
床は数年前に設計させて頂いたヘリンボーンとは少し異なりますので、比較に・・・。
“森羅万象” | 京都の注文住宅なら設計事務所ATTIC (attic-co.jp)
LDKからホールまで、2階の床は全てフレンチヘリンボーンという貼りかたです。この床も本物の木なので、やはり独特の迫力が有ります。
でも、私が大工だとして、切れ端の使いまわしまで書いたこんな図面持ってこられたら少し嫌です(笑)
LDKを見上げるとスロープシーリング(斜め天井)とハイサイドライト(高窓)が部屋の奥へと光を誘導します。
コーニス照明(間接照明)が絶妙な位置に廻っているのですが、書くことが多すぎるので、この説明はまたの機会に(笑)
特殊な事をしていますので、バルコニーへは段差無しでアクセスできます。
巾いっぱいに開放した窓と、高く設定したバルコニー外側の壁が、まるで室内であるかの様な錯覚を起こさせますので、LDKは見た目よりも解放感が広がります。
都会においては、高い壁で囲われた空間は、素人さんが考えるよりも明るく、また静けさを提供してくれるのです。
バルコニーには水盤をご所望でしたのでバルコニーの溝の幅を少し広くして水をためられるようにしてみました。
水面(みなも)の揺らぎが壁や天井に反射し、水のせせらぎは1/fゆらぎを演出。1/fにはリラックス効果が有るそうです。
洗面器と水栓はお客様のご支給品です。顔色のわかりやすい色あいの照明をコーニス照明(間接照明)とし、更にその上にトップライト(天窓)も設置しました。
洗面の脇にはドラム式の洗濯機とガス乾燥機をビルトインしてスッキリと。
おかげ様で大阪ガスのHPにも掲載してもらいましたので、宜しければご覧ください。
暮らし、劇的に変わる - ガス衣類乾燥機 乾太くん/大阪ガス
最後にトイレです。照明はお客様のご支給品です。
改めて写真を見て思いましたが、インテリア雑誌から飛び出して来たような雰囲気です。お客様ご自身が選び、飾られているインテリア雑貨によるところが大きい気がしますので、脱帽です。
私はどちらかというと装飾が苦手なので、いつも、専らインテリアコーディネーターさんやお客様ご自身にお任せです。ですがその分設計については端々まで妥協せず遣りきります(笑)
それにしても、久しぶりに色々難しく、骨が折れました。が、その分やりがいとやりきった感が大きかったです。来年50歳に突入しますが、未だ進歩する事は楽しいと感じる ATTIC辻井でした。
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