計画地は道路を挟んで東に公園が有り、正面に高木が有ります。
北は隣家住宅の庭ですが、建て替わる可能性の高い築年数です。
南は隣家が隣接し、西は1.5mくらい低い位置に貸農園が有り見晴らしが良く、その向こうは、道路や畑なので、遠くの山まで遮るものが有りません。
3Dで見た方がわかりやすいでしょうか?
さて、東西に素晴らしい抜けのある場所なので、要望に有った風の抜ける事に加えて視線の抜けも考慮して計画します。
オザキは空間や雰囲気や空気感やマテリアルに拘りをもっていましたので、建築とは無関係のご主人には、バイクと水槽などの趣味が楽しめる様なプランニングを心がけました。
オザキプラン。廊下の長さと回遊性が良い。他はまぁ普通。
我々設計者の場合は、平面図を見比べるとすぐにわかるのですが、要求室や大きさはほぼ同じでも、アプローチが異なると結果も少し変わるのだなぁと改めて感じました。
エントランス脇にはバイク部屋を作り、外部から直接バイクが出入り出来るスロープを作りました。エントランス脇には間接照明が入り、バイク部屋に照明が貫通していきます。
夜景は天井の照明を無くし、足元灯だけで照度を取ります。
子供室は南面から採光を、西面窓はロケーションを取り入れる。床は倉庫に余っていたパイン材の床を利用。0円食堂方式。
主寝室は北に位置し、コンパクトに納める代わりにウォークインクローゼットを設置。こだわりのクロスで窓の無い部屋を気分の『アガル』空間にする。
階段ホールは廻り部分を少し広く取り、カウンターを設置し、多目的な用途で使える様に設計。
スタディー、読書、飾り台、階段独特の反響を利用した音楽を楽しむ読書コーナーにもなります。
LDKは、空間をより伸びやかに見せる為に少々強引なプランニングを試みました。
大きな透明の建具で2階の階段ホールとリビングの空間を一体化し、インナーバルコニーも大きな建具で一体化してみました。
たまたま実験は成功し、辻井が最も得意とする不思議な内的外部が現れました。ヨカッタヨカッタ。
18帖のLDKは25帖くらいのボリュームに感じ、昼間は公園の樹木までが自分の空間の様に見えます。曖昧に空間を仕切る事で、錯視と自然変化が取り込まれた空間が完成しました。
居間とダイニングの間には水槽が鎮座し、下部の収納の中には給水と排水のシステムが導入されています。
居間の奥、西面の窓は山の稜線が見えて、貸農園は見えない様に現場で高さを調整しました。
太陽の沈む位置で四季の移ろいを楽しめます。
壁を増やすことで構造の強度を取った二階のトイレは壁の窓をあきらめて天窓で採光を取りました。
洗面には縦に大きなFIX窓。朝日がサンサンと入る様に。
空間の構成の為と、日々の生活の質の向上に費用を重点的に振り分けていますので、高級な仕様というわけではありませんが、反面設計の良さが引き立つと言える出来になりました。
費用の問題などは色々難しかったのですが、キタンの無い意見を遠慮なく言えたので、打ち合わせは楽ちんでした(笑)
自分にプレッシャーをかけると未だ進歩出来る事を実感します。こりゃ楽しいです。ATTIC辻井でした。