計画地は33坪の平坦な敷地で、間口は5m。
費用と北側斜線を考慮して、2階建ての計画で考えます。7人の暮らし方も考慮して設計します。
最初はいつも通り3次元(立体的)に考えた。日当たり、通風、プライバシー、費用、ボリューム、施工方法などなど・・・。
・・・どう考えても難しい(笑)
こんな事は初めてだ(笑)
なかなかプランが出来ないとき、いつもは不安になったりイライラしたりするが、今回は不謹慎にも楽しい(笑)
辻井がこんだけ考えても出来ないと言う事は、もはや普通の考え方は通用しない事に気付いた。(エライ)
3次元だけではなく、もう1次元(時間軸)を追加することにした。
ほどなく頭の中で出来上がった。
ただでさえ複雑な立体を、時間軸を含めてお客様にご理解頂きたい。
そこで、時間軸による使い方の変化を図面に書き込んでご説明させて頂きました。
時間軸による変化を図面化したプレゼン。模型も作ったと思うのですが、手元にないです(笑)
さて、実施設計の前に、北側斜線が厳しいので、天空率の計算を行いました。
そんなさなか、『天空率計算でギリギリいっぱいまで設計出来ますか?』と奥様からご質問が。
『私は出来ませんが、(所員の)尾﨑が出来ますのでやってもらってます。』とお答えしました。
なんでもネットでは、天空率を嫌がる設計事務所が多い・・・との事でした。
天空率の計算。確かにこれは面倒そうです。
私は出来ないので面倒ではありませんし、所員は優秀ですので大丈夫です。
奥様に玄関の引き戸の上のレールを隠してほしと言われたので、特殊な事をして見えなくしています。点検の為に開口することが出来ます。
玄関を出てポーチに立つと、向かいの土手越しに、空が広がります。
玄関収納の上に照明を置くだけで、造作の不要のお手軽な間接照明になります。ソフトな空間を演出できますので、ATTICでは定番になりつつあります。
シャープでクールな外観とはうって変わってナチュラルで優しい内観。奥のデッキには南からの陽が注ぎます。デッキの外部階段から、二階のバルコニーへの動線をつくり、回遊性の続く仕掛けを創っています。
奥の和室とLDKを繋げることで、目線が通りますので、空間を広く見せられます。
床は無垢のパイン材。断熱効率を考えてLDKと階段は天井までの引き戸で仕切れるかたちにしました。
階段の天井までの建具は、収納扉の前に引く納まり。
収納の内部クロスはなんとムーミン・・・だったと思います。(←あまりわかっていない)
階段室上に設置した大きなFIX窓は、建物正面の窓。ここから空への抜け感を感じてもらえます。
奥のバルコニーから一階のデッキに出られます。
さらに床面積に算入されない天井高のロフトを設けました。手摺はお客様のコダワリでアイアンの特注です。
洗面は浮かすタイプを採用し、収納の少なさはトールキャビネットで補います。
トイレは(多分)ムーミンの壁紙。(←わかってない)
延床面積は約27坪ですが、ロフトやバルコニーなどの床面積に算入されない空間を合計するとなんと40坪のボリュームになります。さらに将来に向けて拡張性を残した設計にしています。
プランニングのキモは、まず敷地の中に立って(いるつもりで)、視線が抜ける位置を探して、そこに陽光などを導き、その空間に向かって居室を配置し、(狭小の場合は特に)その空間を他の居室と共有する事で空間に広がりをもたらす事ができます。あとは上下左右の回遊性を考えられると尚良いです。
最初にご主人にお会いして色々お話をお聞きするうちに、男気の有る気持ちのいいかただという事を感じました。なんというか、『全部背負ってやるぜ!』みたいな、精神的な強さです。私なんか家内と息子でせいいっぱいなので、ほんとリスペクトです。
でも、負けず嫌いな私は、『設計でなら勝てそうだから、お手伝いしたいぜ!』みたいになってしまったATTIC辻井でした。
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