アトリエ Nigella

伏見区のなかでも、外観は和風を求められる場所ですので、ご要望との折り合いが難しいところなのですが、一度思うままにプランさせて頂きました。

全面にスペースを取って雑木の中をアプローチするプランで、アイストップはアジサイです。
建物中央付近に中庭が有り、店舗のイートインスペースから緑を眺めるプランでした。

…ですが、建物裏に5台分の貸駐車スペースを増やしてほしいとのご要望が有りましたので、建物を縮小し、奥行を8ｍくらい小さくしましたので、敷地は約半分になりました。
ツジイ、ハリキリ過ぎました。（笑）

さて、機能を優先して、最小にすることでコストを圧縮し、うまくミニマムにまとまりました。さすがツジイ君じょうずです（笑）
植栽がもう少し大きくなるともっとバランスが良くなります。

外観はシンプルになりました。…が、かえってお客様の選んだ表札や照明器具がより映える事になりました。

どうでしょうか。夕方は更に素敵です。

ちなみに準防火地域なのですが、一階は敷地境界線からの離隔距離を取ったので、玄関ドアは非防火で良かった為、無垢の木製の輸入ドアをオスモカラーという自然塗料のホワイトで仕上げています。
無垢の扉は開閉の度に、本物の開閉感を味わえますので、アルミの扉には無い独特の量感が有ります。

店舗のショーケースの上のペンダント（吊り下げ）照明もお客様のご支給品です。

こちらも御支給頂いたアンティークのブラケット（壁掛け）照明。
基部は陶器ですので、割れない様にとビスの締め込みに細心の注意をしました。

棚の上もお客様のワールド全開です。支えの真鍮製のブラケットもコダワリの御支給品。
ビスが無かったので、真鍮のものを探しまくって施工しました。

厨房から店舗までを見渡せる配置にし、動線や器具の位置は考え抜いた配置になっていますので、ワンオペでも動きやすくなっています。

向かって右の開口部にはブラインドを設置する事で、お客様から厨房への目線も適度に隠す事も可能です。

センター置きにしたコールドテーブルのステンレス色の天板の上にメラミンカウンターを乗せてホワイトにしましたが、こちらもお施主様のコダワリです。
天板は面積が大きいので、ステンレスがむき出しになると業務厨房感が強くなってしまうからだそうです。（中華料理屋さんの様な感じでしょうか）

店舗奥はLDです。
なんと9畳の半分が土間コンクリート仕上げです。
こんなへんてこな提案をして良いものかと悩みましたが、厨房での創作活動のあいだに澱みなくダイニングを使えるので、大変気に入って頂きました。

お客様の使い勝手や思いに寄り添って考え、既成概念に囚われず提案する事を心掛け…を実践できたところです。

注文住宅は、ご自身だけの家なので、万人に受けなくても一人に強く刺されば良いといつも思っています。

トイレは階段下にコンパクトにまとめましたが、細部の備品にはこだわって手抜かりなく。

階段から奥を見通すと…

広い窓から朝日が注ぐ明るい洗面が有ります。

洗面ボールだけでなく、モザイクタイルやミラー、水栓、カウンターにタオル掛けに至るまで妥協は有りません。というか、かわいいです。

主寝室の奥の壁の向こうはウォークインクローゼット。大量の洋服を収納できます。
扉が無く天井が繋がっているので、部屋が広く見えます。
実用的には、着替えても寒くありませんし、収納の際は動線も邪魔しませんので使い勝手も抜群です。

インナーバルコニーは無くして巾の広い窓のある廊下の様な部屋を作って、天井に物干しバーを設置しました。
バルコニーと違い、FRP防水のメンテナンスが要らなくなるので、ライフサイクルコストが通年で数10万減ります。
容積率に余裕が有る場合は、バルコニーを無くして物干しを作るのも一つの方法です。

全体的には、これまでのATTICには無い、やさしいデザインに仕上がっています。
お客様は素敵な物をうまく探すのが非常に上手なかたで、才能に舌を巻きました。そういえば先日拝見した絨毯もかなり素敵な感じでした。

ところで、この店舗（アトリエニゲラさん）は洋菓子とケーキを作っておられますが、すぐに売り切れてしまう人気店です。（個人的にはスコップケーキがやばいです。）

お忙しそうなので、アルバイトを入れてお商売を拡大されれば良いのに…と思うのですが、梱包や発送を含めた全ての工程が大好きなので、全部ご自身でされたいとの事でした。…いいですね。

好きな事で成功されている幸せ感がインスタからもにじみでている気がします。

ご興味のあるかたやご注文などはこちらからどうぞ。

アトリエ Nigella (@atelier__nigella)