プライバシーを確保し、必要なところを開放して視線や意識の抜けを意識してプランをしました。
また、庭木や花が風に揺らぐのを、夜には月光がつくる影を楽しめる様な、優雅な空間を創る事を目指しました。
建て替えの場合は特に気を付けるところですが、既存の建物や母屋の位置に引っ張られない様にしました。今回は約700㎡の大きな敷地への計画だった事もあり、ドローンで空中から周辺を見て、目線の抜け、建物の影、太陽の動きなどをチェックしました。
北と東に道路が有るので、まずは建物を北に寄せて南側を開放して庭とします。庭に開いたLDは明るさを確保すると同時に庭木を見せる為に大きな窓を設けました。
LDの窓の前には屋根付きの奥行2mのテラスを設けて直射日光の干渉帯にしていますので快適です。日本家屋における広縁と同じ機能になります。
玄関を入ると、少しゆったりとした土間にベンチを設置しています。
来客が多いので、ちょっとした打ち合わせはこちらで出来ます。
また、明るい玄関をご希望されていましたので、天窓を設けて北側玄関の暗いイメージを払拭しています。
夜には柔らかな印象の照明計画としました。
床の仕上げはマルホンというメーカーのウォールナット材(オニグルミ)を採用しているのですが、数あるメーカーの中でも、群を抜く仕上りの良さです。チョッピリ高いですが(笑)
天井まであるウォールナットの扉を抜けるとLDKです。
まず目に飛び込んでくるのは、キッチンです。
天板はクォーツ(水晶)の特性を持った美しい人造石『シーザーストーン』を使い、コンロ横の壁まで繋げています。
Caesarstoneシーザーストーン|コンフォート株式会社 (comforthousing.co.jp)
そのキッチンはイタリアのユーロモービル社をチョイス。上質な仕上げをグレーでまとめた気品のある仕上がりは、お手本のようなコーディネートだと思いますが如何でしょうか。
キッチンの天井にスリットを設けて、全体照明と作業照明をそれぞれ設置していますが、これをタスクアンドアンビエントと言います。ダウンライトに頼らないライン状の照明です。
LDの天井は吹き抜けにして上部にはハイサイドライト(高窓)をスリット状に窓を設けています。
ハイサイドライトは開放的な雰囲気を演出しつつ日光や月光を切り取って室内に導き、断熱的に直射光をコントロールしています。
リビングの奥のTVの付く面をタイル張りにして床のタイルからの繋がりを持たせて広々とした雰囲気とグレード感を演出しています。
色彩と家具や素材はインテリアコーディネーターの提案で構成されていますが、上質な仕上げが程よい緊張感をもたらしています。
キッチンの横にはヌックを取っています。LDKからはブラインドサイドになる位置にしていますので、雑多なものが有ってもパブリックスペースからは気になりません。
太陽光をコントロールしているので書斎の様なスペースとしても使えます。
キッチンの裏にはパントリーも。
寝室は優しい色合いでホテルライクに仕上がっています。
洗面脱衣は床と壁をタイル張りでスッキリと。収納に工夫が有るのですが、今は内緒です(笑)
階段をゆったりしたのには理由が有ります。
元々ハナレを作ってお仏壇を設置する案や、一階に和室をつくる案も有ったのですが、一階の面積が増えるとせっかくの敷地を浪費してしまう事になるので、2階に和室を作る事にしました。その際にはお参りなどの事も考慮して容易に上がり降り出来るように設計した結果がゆったりした階段なのです。
今は双子のお孫さんが階段を登っているSNSの動画を拝見してほっこりしている辻井です。
和室の前室は名栗(ナグリ)仕上げというチョウナという道具で凸凹のパターンを付けた桧のフローリングの仕上げです。足触りがなんとも心地よく、ごくごく優しい足つぼマッサージといった印象です。
床を掘り下げたカウンターの前には、高い壁で囲ったバルコニーが広がり、自分だけの空をゆったりと眺める事が出来るのがなんとも気持ち良いです。
2022年の11月8日、工事中に皆既月食があったときに、お施主様と一緒にバルコニーに寝転んで見させて頂いた赤い月が良い思い出になりました。
二階の廊下の突き当りには洗面所が有り、こだわりのタイルが目を引きます。二階のトイレは陶器のボールに柿の木の模様のカウンターが映える和のテイストに。
二階に上がったお客様からは一様に、高級料亭の様ですね…と言って頂けます。
狙い通りです(笑)
細部にも多々工夫が有るのですが、また改めて。
ATTIC辻井でした。