FACT.ATTIC代表 辻井のブログ

2013.10.3

最強の工法

建築物の耐震性のお話です。

少し疲れが出てきた様で、少しアトピーテイストな 辻井です。

 

3.11の震災からしばらく、耐震より節電の話題がトレンドになっているのが気に入りません。

 

基礎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

打ち合わせをしていても、LEDの照明器具のお話は頻繁に出るのに、構造の事はあまり聞かれません。危険な建物が山の様に存在するのに、関心が薄い事が不思議かつ不安になります。

建築の中でも、家は家族の基盤であり、大切な生命を守るべきだと思っています。

 

屋根構造

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前フリはこれくらいにして裏話を少し。

 

1位 在来木造   42.8%

2位 鉄骨造   22.2%

3位 鉄筋コンクリート造   3.4%

4位 プレハブ   0.8%

5位 ツーバィフォー   0.0%

 

 

 

これは、阪神大震災における倒壊率50%地域での全半壊の比率だそうです。

兵庫県南部地震による住宅建材被害実態調査報告書より

神戸大学附属図書館デジタルアーカイブ

 

 

上記のデータは現実のようです。

ただし、住宅の総戸数に占めるツーバイフォーの比率は10%台と小さいのでその数値に10倍を掛けて他の工法と比較してみると倒壊率が公正に判断出来るのですが、そもそも倒壊していないので、なにを掛けても「0%」となります。

 

ツーバイフォー工法の全半壊率0%にはいくつかの理由が有ると思います。

①    舶来ものだから。

日本人は、島国ゆえの保守的な民族性が有り、外部から入ってくるものに懐疑的な傾向があると思います。

昭和49年に誰でもが建築可能な工法として認められた(工法のオープン化と言います。)のですが、その際に専門家に検証されて決められた様々なルールが明記された基準(建築基準法告示です)を守らなくてはならず、見た事が無い基準を片手に建築するので、結果構造のハードルが高くなったのではないでしょうか。

 

②    在来工法の勘違い

知識に乏しいかたは、在来は1000年以上の歴史を持つ古い工法で、神社仏閣の様に言うかたがおられますが、はっきり言って全くのデタラメです。無知故の言動だとは思いますが、建築の道で食べている専門家が言った場合は、詐欺行為に等しいと思います。

在来工法は同じ柱と梁で構成された軸組み工法ではありますが、歴史が深いと言われる、伝統工法とは似て異なる物です。伝統工法は、釘や金物を使わず、揺れなどに対して柔軟に受け流し吸収する「制振構造」だと言えます。筋交いや金物で強度を担保された在来工法の歴史は戦後からですので、お間違い無く。1000年も建っている在来工法は一軒も存在しません

 

 

ちなみに、現在において、木造軸組み構法住宅の99%は在来構法で、伝統構法は1%程にしかすぎないそうです。

 伝統工法

 

 

 

 

 

 

 

 

 

構造に詳しいかたは口を揃えておっしゃいますが、実は建物の強度と工法にあまり関連性がありません。最強の構造正確な知識に裏付けされた設計と施工そして監理が全てです。

但し、コストや階数、敷地形状や構造の設計方法や施工管理によっても大きく変わる上、災害や有事の種類(震災なのか火災なのかあるいは津波なのかなど)によっても変わってきますので、ケースバイケースの部分も多々有ります。

 

 

おまけです。

逆に、ツーバイフォーを良く見せる為に比較したこんな図を引用している会社がまだ多く有ります。

 

面構造

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャッチ―な絵ですが、在来工法の壁倍率の要求がキツクなりましたので、殆どが合板張りの建物になっています。今は、こんな在来工法はもう殆ど有りませんので、専門の人間が見ると苦笑してしまいます。

 

こんな事を書くと、中途半端な業者からは、嫌われるだろうなぁと思うのですが、書かずにいられない 辻井でした。

 

 

 

こだわりの有る家を建てるなら、こだわりの有る設計者にご依頼されてみてはいかがでしょうか。

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