FACT.ATTIC代表 辻井のブログ

2016.07.30

床下防湿措置

今回は床下の防湿のお話です

 

 

雨が鬱陶しい季節ですが、雨上がりの青空にはいつもハットさせられる 辻井です。

 

 

二重の虹

 

 

 

今回は床下の防湿についてのお話です。

専門的で面倒くさい文章の予感がしますので、今回は特に読まなくても良いと思います。

私の備忘録として書いている感が否めません。

 

 

写真も少なめです(笑)

 

 

 

 

 

 

 

日本の本土は「温暖湿潤気候」だなんて、小学校で習いましたが、最近は、亜熱帯の様な気候ですね。
しかし、床下にもぐると分かるのですが、恐ろしく暑い日中でも涼しく、寒い冬場でも、そこそこ暖かいのが不思議です。

 

おそらく床下の湿度というよりも、地熱との関係だと思うのですが、定かではありません。

開発費用が確保できれば、いつか解明したいと思っています。

 

 

 

 

 


さて本題です。

 

地域性と立地にもよりますが、床下の土中から一坪あたり3kg程度の水分が出るといわれています。
40坪程度の家の場合は約120kgの水分が出る計算になります。

 

 

気温30℃で湿度が70%と過程して床下の気積から計算すると約0.5kgの水分が飽和水蒸気量になりますので、湿気対策を行わなかったい場合は当然キャパオーバーします。・・・ので理論上はどこかしらで

 

『結露』

 

 

 

します。

 

 

窓の結露のイラスト

 

 

 

 

 

 

そこで、床下の換気は当然ですが、地面からの湿気をストップさせてやる必要が有ります。

 

 

『防湿シートの上に、土間コンクリートを施工して、湿気対策は万全です』

 

・・・と謳っている会社は多いです。(弊社もです)

 


確かに施工当初高い防湿効果が得られるはずです。

 

 

 

 

 

 

数年前に、フィルムの耐用年数についいてご質問を受けましたので、少し深く掘り下げてみました。

耐久性と防湿性能に分けて考えます。

 

 

 

 

(あ・・・なんかややこしくなってきそうな予感がします・・・。)

 

 


●先ずは耐久性です。


防湿シートの大半はポリエチレンという有機化合物です。


住宅金融公庫の仕様書に従った場合、長期優良住宅でも住宅用プラスチック系防湿フイルムと呼ばれるJIS A6930に規定されている材料を使用します。

 


耐久性は約50年の様です。

 


メーカーによっては、酸化防止剤などが添加されていて、加水分解も起こしにくく(ボロボロになりにくく)なっている商品も有りますが、添加材の内容は明かされていない上、多湿な状態での試験を行ったデータでは無い様で、その耐久年数定かではありません

 

防湿シートを基礎の下に施工した場合、加水分解されてその機能が失われても全くわかりませんので、
50年後からは防湿性能のほぼ全てをコンクリートに頼る事になると考えたほうが良いと思います。

 

 

 

そこで、基礎のコンクリートについてですが、こちらは構造的な耐用年数によるところが寿命になりそうです。

 

詳しくは他の機会にゆずりますが、鉄筋を覆っているコンクリートの距離(かぶり厚)によって決定するのではないでしょうか。

 

一般的に土中の場合は40mm以上のかぶり厚が必要ですので、約40年という事になります。

 

弊社の様に、150厚の基礎を採用している場合、鉄筋の重ねしろを除いた部分に限定すると、約62年と言う事になります。
但し62年を過ぎると理論的に中性化が進むのであって、防湿性能が失われるわけではありません

 

 

 

 

 


●次に防湿性能です。

厚み100mmのコンクリート69.9(m2hmmHg/g)に対して、防湿シートは170(m2hmmHg/g)です。

 

防湿シートは、薄いのにも関わらず凄まじい遮蔽力です!

 

(※透湿抵抗値(m2hmmHg/g)は大きいほど防湿抵抗が有ります。)

 

 


ちなみに建築基準法では、地面から床までの高さや床下換気が適切に行われている場合に床下防湿の規定はありません。

 

 

 

 

・・・ですが、きちんとした会社は、住宅金融公庫仕様の床下防湿措置の基準に習って施工するのが一般的だと思います。

 

 

住宅金融公庫の仕様の床下防湿措置は以下の通りです。

 

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1.防湿用のコンクリートを施工する場合
 イ.床下地面全面に厚さ60mm 以上のコンクリートを打設する。

 

 

 ロ.コンクリート打設に先立ち、床下地面は盛土し、十分突き固める。

 

 

2.防湿フィルムを施工する場合

 

 イ.床下地面全面にJISA6930(住宅用プラスチック系防湿フィルム)、JISZ1702(包装用ポリエチレンフィルム)若しくはJlSK6781(農業用ポリエチレンフィルム)に適合するもの又はこれらと同等以上の効力を有する防湿フィルムで厚さ0.1 ㎜以上のものを敷きつめる。

 

 

 ロ.防湿フィルムの重ね幅は150mm 以上とし、防湿フィルムの全面を乾燥した砂、砂利又はコンクリート押えとする。

 

********************************************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンクリート厚を150mmとして防湿抵抗を稼ぐ事で、実際は防湿フィルムと同程度の抵抗値を確保出来ると言えます。

 

防湿フィルム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談ですが・・・
乾いた砂の上に防湿フィルムを施工する方法も有る様ですが、白蟻の温床になった事例も散見できますので、あまりお勧めしません。

 

 

 

 

家の足元の部分は『礎』(いしずえ)になりますので、断熱、湿度のコントロール、構造など、とても大切に考える様にしています。

 

 

 

 

『100年住宅』をうたっている会社もありますが、

湿度のコントロールに関して考えた場合、コンクリートのかぶり圧さは最低100mm必要ですので、主筋をD13とすると、どこをどう考えても基礎は223mm以上必要になるはずですが、せいぜい200mmといったところでしょう。

中性化のお話になると、基礎の立ち上がりは堂々と150mmと書いておられますので、如何に胡散臭いかが・・・・(以下自粛)

 

 

 

 

 

とにもかくにも、住宅は高い買い物ですので、住宅の耐久性を伸ばすにはメンテナンスが容易な構造を採用すべきだと最近強く感じている 辻井でした。

 

 

 

 

メンテナンス性や耐久性も大切ですが、デザイン性も妥協できないかたは弊社にご連絡を。

 

お客様のかわりにややこしいことを引き受けます。 辻井でした。

 

 

その他断熱材の記事はこちらへ。

 

その他、過去の実例は、こちらからどうぞ。

 

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