FACT.ATTIC代表 辻井のブログ

2025.11.7

内部建具における枠と詳細についてのいくつかの考察

設計事務所的、内部ドアのデティールのお話ですが、

だれがこんな面倒くさい臭いがプンプンとするブログを読むのでしょうか、疑問は甚だぬぐい難いですがそれこそがATTICだとも言えなくもないです。

 

わかりやすいお話については、弊社オザキの何とか日和とかを読んで下さい。

 

 

 

 

シンプルなパース

 

先月は忙しくてブログが書けませんでした。

忙しい中、考えなくても書けることを考えた時に思い浮かぶのは、ツジイの得意な、細かいお話です。お暇が有れば、少しだけお付き合いください。

 

 

 

 

 

簡単に言うと、ATTICで室内のドアを選ぶときに、どこ見てるのんか・・・

と、いう事ですので、先日お伝えしたドアの選び方と少しつながるかもしれません。

 

 

一般的に木造住宅のドアの枠のおさまりは、下記の2種類になります。

 

特にツーバイフォーのほとんどは、工法的な事情で、『ケーシング納まり』と呼ばれる、下段の納まりになります。

 

 

 

ケーシングがつくと、構成する線が多くなるので、なんだかゴージャスな雰囲気になります。

 

 

 

 

時代とともに、シンプルを好むご要望が徐々に多くなり、それに呼応して、反応の早いメーカーは様々な工夫を凝らしています。

 

以前ご紹介させて頂いた、設計事務所御用達のKAMIYA社に迫るディティールを携えた商品を、大手メーカーのLIXIL(旧トステム)が2025年にラシッサをブラッシュアップして発売しています。

 

実際にこのカタログの表紙の様にすっきりした印象に仕上がります。

 

 

 

 

 

実際になにが違うのかをご説明すると、

 

枠・ドアノブの座・丁番・戸当たりなどに特徴が有ります。

 

 

 

 

 

●枠

枠は、文字通りドアの廻りの部分ですが、ケーシング枠ではなくノンケーシング枠とし、特筆すべきは特注で天井いっぱいで寸法調整している事です。

これはケーシング枠です。

 

 

 

●ドアノブ

次にドアノブに普通は付いているはずの台座『座』が有りません。

開閉のストロークも浅く、なかなかすっきりとしています。

ドアノブ専門メーカーにはこんなに恰好良いのが

昔からあったのですが、価格だけでは測れない価値観がにじみ出ている気がします。

 

 

 

 

この人たちは特注の建具にしか付けられなかったので、大手メーカーが対応品を出した事に価値が有ると思います。

 

 

 

 

 

●丁番

丁番とは、ヒンジの事です。ちょうちょの様にひらひらするあれです。

ラシッサ2025は隠し丁番と言う閉めると見えなくなる部品を選択できます。

かっけーでございます。

 

 

 

 

●戸当たり

見えにく床付けの戸当たりやロック付きのもの、アームストッパーまで用意する周到さです。

アームストッパーは破損しやすいので、そのうち標準から外される可能性を秘めていますが、メーカーの英断に感動すら覚えます。

アームストッパーは扉を閉めると全く見えなくなるのです。

 

流石に4個めの白いゴムの付いたヤツ(公団戸当たり)は、あまり良くない(笑)ので、

社外品のこんなヤツとか、

 

これまた社外品のこんなのを使うと良いと思います。

 

 

 

 

●限界

枠が残るところが惜しいですが、クロスの割れなどのリスクを設計者や施工者がお客様に対して正確に説明出来るかどうかを考えてみると、大手メーカーの限界がここである様な気がします。

 

 

あえて枠を無くして比較すると・・・

こんな感じになります。

だいぶ違う感じがします。

 

 

 

 

 

 

●配置

最後にディティールと併せて、ドアの配置をご紹介します。

普通、廊下に対してベッドルームが有る場合、平面は大体こんな感じになります。

で、デティール二こだわると、こんな感じになります。

なんでかと言うと、

 

 

 

 

 

普通はこうでしょ。

・・・で、枠が無いと・・・

こう、スッキリとなるぢゃぁないですか。

 

 

 

で、コイツを

 

裏から見ると・・・

こうなので、凸凹が無くなる分すっきりしてますよね。

 

 

 

 

 

 

で、ドアの間隔(ピッチ)内部の使い勝手を無視して等間隔に並べると、こんな感じになります。

 

 

美しさを最優先すると、こんなアトリエ設計事務所の様な空間を再現出来ます。

こうして書くと、枠が邪魔になってくるのがわかりやすくなると思います。

 

 

 

 

 

『ドア開けたら廊下の人に当たるやんかいさ!』

とか、

『廊下にドアハンドル出てるし、もの運ぶときとか、人に引っかかるやん!』

とか、

『ベッドの配置的に邪魔な位置にドア来てるやんかいさ』

とかは、あえて無視です。(笑)

 

 

 

 

使い勝手を捨て、どこまで詳細を追い込むかはあなた次第です(謎)

 

 

 

ともあれ、日本人の文化レベルデザインに対するリテラシーが徐々に上がっていると感じます。

若いかたがデザインに携わってきているからなのか、上の人が英断したのかはわかりませんが、美しいモノに対するアクナキ追及は大切な気がする辻井でした。

 

 

 

 

 

 

過去のデティール関連の記事を下にリンクしてみましたので、宜しければどうぞ。

 

 

 

 

 

コダワリの詰まった実例を掲載していますので、ご興味が有れば以下からご覧ください

実例はこちらから。

 

注文住宅の設計屋による細かいお話の過去のリンク​

雨樋なんか、なんでも一緒か? 雨樋はどこにつける
天窓やめとけ 注文住宅的窓の選択 注文住宅的屋根材の考察
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商工会で作ってもらった動画が好評です。弊社、尾崎の自邸で撮影させて頂きました。

Youtubeで辻井が喋っています。ヘラヘラしているのが少し鼻に付きますが、緊張の裏返しですので、お許しください。

ええやん長岡京

YouTubeです

是非一度ご覧ください。

 

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